前回の記事では、カナダのCo-opプログラムについて紹介しました。社会人として働いた経験を活かしつつ、現地で学び・働くことができるCo-opは、将来の選択肢を広げる大きな一歩になりました。
今回はその続編として、「社会人留学を決意してから、実際に渡航するまでのリアルな計画と準備」についてお話しします。
留学・ワーホリを「やってみたい」と思う人は多いですが、実際に行動に移すには、資金面・仕事の整理・家族や友達との時間など、さまざまな壁があるのも事実です。私自身も、仕事を辞めるべきか、いつがベストなタイミングか、お金は足りるのかと、何度も葛藤しました。
この記事では、
- 渡航のタイミングをどう決めたか
- 留学期間やプログラムをどう選んだか
- 渡航前の準備で後悔したこと・よかったこと
- 実際に1年経ってから見えてきた気づき
などを、具体的なエピソードとともに振り返ります。
これから留学を考えている方のヒントや、安心材料になれば嬉しいです。
1:タイミングについて(当時の考えと計画)
社会人留学を「やる」と決めた瞬間から、次に考えたのは「いつ行くか」でした。すぐにでも行きたい気持ちがある一方で、現実的な課題も多く、最終的には3つの軸でタイミングを決めていきました。
1. キャリアの問題:職歴はどれだけ必要か?
まず社会人留学で重要なポイントになるのが、仕事を辞めるタイミングです。あまりにも早く退職してしまうと、履歴書に書ける職歴が短くなり、現地での就活や帰国後の転職活動に影響がでてきます。また、ある程度の社会人経験を持っていると、日本社会での仕事のクオリティだったり、精神的な自立、常識がどういったものか知ることができ、海外に出ても使える人間的なスキルを身に着け、今後に備えておくことができます。
2. 貯金の問題:留学費用と現地生活費をどう用意するか?

留学は。だからこそ「お金」は最もシビアな問題の一つでした。
私はまず、以下のように費用を見積もりました:
- 学費(Co-opプログラム):約200万円
- 生活費(現地でパートタイムしか働けない期間と仕事が見つからない期間分+予備):約150〜200万円
- 渡航費・ビザ申請費・保険など:20〜30万円
- 緊急用の予備費:20万円
ざっくり言って、最低でも200万円ほどは学費とは別にあるといいかなと考えていました。
そこで、毎月の固定支出を見直し、月に約7〜8万円ずつ貯金するプランを設定。ボーナスもすべて貯金に回し、約1年半で目標額を達成しました。
お金管理が得意でないという方は、ぜひこちらの記事も合わせて読んでみてください。
3. 早く行きたい気持ちとのバランス
「いますぐにでも行きたい!」という気持ちは当然ありました。でも、準備不足で渡航して後悔するのは絶対に嫌でした。無理して急いで渡航するより、しっかり準備をしてからの方が、現地でも余裕を持って行動ができます。ただ、それを言い訳に、先延ばしにするのも違います。先延ばしにすればするほど、年齢は上がり、リスクや責任も大きくなっていきます。また、思い立ってから期間が開くにつれて、オーバーシンキング(考えすぎ)や、勢いでできたことも、落ち着いてしまってやりにくくなると思います。若いうちに自由に行動することで、気兼ねなく、失うものもほとんどありません。
なので、ある程度社会人を経験してから行くことで、人と働くことや大人としての壁の乗り越え方をみにつけ、履歴書でも活用できるような職歴も得たうえで、なるべくスピーディに実現していくことが大事になります。
そして、私は社会人2年半を終えた後の1月入学に決めました。入学月に合わせて学校選びも調整し、逆算して退職のタイミングを設定しました。
4. 今だから言える「盲点」
実際に渡航してから気づいたのは、現地の季節やジョブマーケットを考慮しておくべきだったということです。
私が渡航したのは冬(12月末)。カナダ(特にバンクーバー)は冬の間、観光業や飲食店は特にですが、全体的な求人の量が減る傾向があります。また、日系ではなく、ローカルの仕事経験を積みたかったので、なおさら、仕事探しには本当に苦労しました。
「早く行きたい」「お金も貯まった」と満足していたものの、こうした時期的な要素を見落としていたのは、今振り返っての反省点です。
2:滞在の計画について(期間・プログラムの選び方)
タイミングの次に大事だったのが、「どれだけの期間、どんな形で滞在するか?」という点でした。社会人留学は時間もお金も限られているため、最大限に活用できるように、滞在スタイルをしっかり考えました。

1. 滞在期間をどう決めたか?
最初に悩んだのは、「どれだけの期間、海外で過ごすべきか?」ということです。短期でも経験にはなるけど、英語力や仕事経験を積むには時間が必要。そこで私は、「最低でも2年、できれば2年半〜3年」という方針を立てました。
期間を決める際に考慮した要素は以下の通りです:
- 資金面:貯金でどこまでまかなえるか
- 就労経験:海外で働ける期間が長いほど、雇用先が増えるのと学びが深くなる
- ビザの有効期間:プログラムに合わせた最長滞在を目指す
私が渡航したときにはまだワーホリ期間が1年しかなかったので、Co-opを利用するのが一番、オフィスジョブでの就労を現実にするためにはベストな選択でした。やはり、雇用主もビザの短い外国人を雇うほどリスクは侵さないと思います。
2. プログラムの選択:Co-opとワーキングホリデーの併用
上記にあるように、最も効率的な滞在方法として、私は「Co-opビザ → ワーキングホリデービザ(ワーホリ)」という順番を選びました。
Co-opビザとは?
学生ビザの一種で、学校で学んだ後に有給インターン(実務経験)を行えるプログラムです(バンクーバーはBC州なので有給として保障されています。)。最大で2年ほど滞在でき、学ぶ+働くのバランスがとても良いのが特長です。
なぜこの順番がベストだったか?
- 座学中で最初に「現地の働き方」と「英語環境」に慣れる
- Co-op期間と卒業後のワーホリで「本格的な仕事経験」を積むことができる
- ワーホリ終了後の就職・移住も視野に入れられる
座学中に就職活動やアルバイト、英語のブラッシュアップを先にしておくことで、長期的にフルタイムで働き始めるときに困らなくなります。
これにより、約3年間にわたってカナダで学び・働くという理想的なスケジュールが実現しました。
3. エージェントへの相談と学校選び
滞在計画の中でも、学校選びはとても重要でした。私は「無料留学エージェント」に複数相談して、以下のような情報を得ました:
- 学校のCo-opプログラムの違い
- 学費や支払いスケジュール
- 実際に働ける業界・職種の傾向
- ビザ取得のための条件
特にありがたかったのは、書類作成や申請プロセスのサポート。忙しい社会人にとっては、自分ひとりで調べるよりも、エージェントの知見を借りる方が確実で効率的でした。また、お金もかからないので、気軽に進めていきやすいと思います。ただ、1つ注意点としては、無料エージェントによっては、紹介する学校側からお金をもらっているので、学校紹介にもバイアスがかかっている会社もあります。なので、自分での口コミリサーチなども怠らないようにして、インセンティブのためだけに誘導されないように、注意が必要です。
3: まとめ & 今日できること3つ!
社会人留学は、勢いだけでも熟考だけでも進みません。今回の計画と準備を振り返ると、鍵は次の4つでした。
- タイミングは3軸で決める:職歴の積み上げ/資金計画/季節・求人動向。
- 資金は逆算で現実化:固定費の見直し+積立で1年半かけて着地。
- 滞在設計は長期目線:学ぶ→働くが両立できるCo-op→ワーホリの流れで、経験と選択肢を最大化。
- 情報収集は二段構え:エージェントの知見を借りつつ、口コミと自分基準でバイアスを補正。
「完璧なタイミング」は来ません。決めて、逆算し、小さく動く人から叶っていきます。冬の求人減やビザ期間など“盲点”も、先に知っていればリスクは抑えられる。前回のCo-op編で触れた「学び×実務」の強みは、今回の計画で初めて土台になります。
今日できる3つの一歩
- 退職・入学月から逆算した月次の資金表を作る
- ジョブマーケットと自分のキャリアを苦慮した渡航時期の目安を決める
- 気になる学校をネットで調べる+口コミ確認
ここまで読んで「やってみたい」が「やってみる」に少しでも近づいたなら嬉しいです。次回の社会人留学Journalシリーズでは、渡航前の具体的な準備やどう過ごすかのがベストかを紹介していきたいと思います。




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